■ドラマ『メディア王』が浮き彫りにする リーダーが犯しがちな間違い

米国テレビ局HBOのヒットシリーズ『メディア王~華麗なる一族~』(原題はSuccession。『キング・オブ・メディア』『サクセッション』の邦題でも配信された)の続編に、多くのテレビファンが沸いている。

ドラマとはいえ、企業でよく見られる複雑な人間関係、権力闘争、業界用語などを取り上げている。

2023年3月26日に放送されたシーズン4の第1話では、企業経営者が利害関係の大きい交渉の場で陥りがちな落とし穴について、内省する場面が描かれた。

交渉は、現実の世界でもことごとくうまくいかないものである。

このドラマは、架空の巨大国際メディアエンタテインメント企業、ウェイスター・ロイコを支える富豪の一族、ロイ家の物語である。

家長であるローガン・ロイは、冷酷な実業家として恐れられているが、健康面に問題を抱えている。

4人の子どもたち、コナー、ケンダルローマン、シヴォーン(シヴ)は、会社の将来に関して、それぞれに野心と目論見を持っている。

また、ウェイスター・ロイコと金銭的な利害関係もある。

シリーズが進むにつれ、社内外の危機がメディア帝国の安定と未来を脅かすようになる。

シーズン4の第1話では、権力に執着するローガンが、デジタルメディア企業のゴージョーに自社を買収してもらうよう交渉している。

その一方で、彼はウェイスターの経営権を下の3人の子どもたちから取り上げ、シーズン2から目をつけていた左派系メディアコングロマリット、ピアース・グローバル・メディア(PGM)の買収に狙いを定めている。

会社の評価額は大幅に下がっていたが、PGMオーナーのナン・ピアースは売却を熱望している。

ローガンにとって最大の障害は価格ではなく、家族である。ケンダル、ローマン、シヴの3人は手を組み、ウェイスターのゴージョーへの売却で現金化される持ち株を元手に、父に対抗してPGM買収の入札を行う。

その決断によって、カネと意地の激しい戦いの火ぶたが切られる。  PGMをめぐって父ローガンと戦うと決めた兄妹は、すぐにピアースの関係者と面会し、同社はロイ家の内紛に乗じて売却価格をつり上げる。

数回の金額提示を受けたのち、ナンはローガンに反論の機会を与えることなく、100億ドルで兄妹に売却することに同意する。

自分の子どもたちに入札で負けるのは、ローガンにとって受け入れがたいことだった。  ちなみに、PGMとの取引は兄妹が保有するウェイスターの株式を現金化することを条件にしているため、まだ成立したわけではない。

それでもこの勝負は、現実のビジネスリーダーが大きなリスクを伴う状況で犯しがちな典型的な間違いを浮き彫りにしている。釈迦に説法だが、以下に簡単に教訓をまとめてみた。

■理由を説明できないオファーはしない

ローガン・ロイは、競合相手となる入札者(自分の子どもたち)の存在を知った時、アドバイザーたちから「あなたで確定のはず」と告げられ、自分の提示額に自信を持った。

そのため、ナン・ピアースから確たる数字を求める電話がかかってくると、それまで落とし所と考えていた70億ドルを60億ドルに下げて提示する。  ここでは、ローガンの慢心がじゃまをしている。

人は自信過剰になると、交渉相手を過小評価し、非現実的な要求や不当に低い金額を提示するようになる。その結果、相手が機嫌を損ねれば、交渉は行き詰まる。

また、自信過剰な人は、潜在的なリスクや自分の立場の弱点を見落とすなど、準備不足のまま交渉に臨みがちである。その結果、過度に攻撃的になったり、相手の懸念を軽んじたりして、関係を悪化させ、相互に利益のある合意に至ることをいっそう難しくしてしまうのである。

ローガンが行った60億ドルの提示には、もう一つ問題がある。それは、強気ともいえる低い金額であり、ナンにその理由や妥当性を説明しようともしなかった。交渉で提案の理由を説明する人は、説明しない人よりも合意に達する可能性が高いことが研究で示されている。筋の通った説得力のある説明には、その提案が考え抜かれた正当なものであることを相手に示す効果がある。

■提案をフレーミングする

ケンダル、ローマン、シヴの3人がナン・ピアースに会いにいき、オファーを出す気があることを伝えると、ナンはすぐに、すでに好条件のオファーを受けているから、せっかく来てくれたが無駄足だったと告げる。ナンは、交渉におけるフレーミングの力、つまりオファーの提示の仕方によって、そのオファーの価値、ひいては交渉の結果が左右されることをよく理解しているようだ。ナンは、もし本当に自分の気を引きたいのなら、ローガンのオファーに勝たなければならない、という明確なシグナルを兄妹に送っていたのである。  交渉では、自分の提案の利点を強調し、欠点を最小化するような方法で提案をフレーミングすると、提案が受け入れられる可能性が高くなる。ケンダル、ローマン、シヴの3人も、フレーミングを利用して、自分たちの提案のプラス面を強調し、マイナス面を目立たなくできたはずである。一般的に、買い手も売り手も、自分の主張を慎重にフレーミングすることで、交渉の力学に強力な影響を与えることができる。

■アンカーには拘束力がある

ロイ兄妹から入札額には自信があると告げられると、ナンは「まるで競売場にいるみたいだ。80、90、次はどうするんだ」とコメントする。これは、自分に有利な入札を引き出すためのアンカーである。  アンカリングは、交渉の強力な手段で、基準点、つまりアンカー(碇)を設定して、その後のオファーの価値に対する相手の認識に影響を与えるのが狙いである。アンカーは、一般的に交渉の最初のオファーとして用いられる。すなわち、交渉の場で最初に提示されるオファーは、たとえそれが受け入れられなかったとしても、最終的な結果に大きな影響を与える。  たとえば、車の売り手は、希望価格を高く設定すると、車の価値に対する買い手の認識を固定し、その後の交渉を有利に進めることができる。逆に、買い手が低い金額でアンカーを設定すれば、車の価値に対する売り手の認識を買い手に有利にシフトさせられる。  ナン・ピアースは、80億ドルと90億ドルのアンカーを落とし、どのような入札額なら応じる可能性があるかを示した。兄妹で数分検討したのち、シヴは80億ドルを提示する。それではダメだと言われ、シヴたちは再び相談する。父親が90億ドル台を提示してくるかもしれないと推測し、最終的に思い切って100億ドルで勝負に出ることにする。  最初のアンカーは、交渉における最終的なオファーに強い影響を与えることが研究で示されている。しかし、アンカーの効き目は、適正なアンカーを設定するだけの十分な情報を持っているかどうかにかかっている。ナン・ピアースにはそれがあった。しかし、交渉対象の価値についてよく知らなければ、不適切なアンカーを設定してしまう可能性がある。ロイ兄妹の100億ドルという高すぎる入札額のように、アンカーは、その後のオファーを引っ張る拘束力のある数字なのである。

■感情は交渉を狂わせる

ローガンと子どもたちとの間の入札合戦では、一貫して激しい感情の高まりが見られる。兄妹は、父親を負かしたい一心で、慎重な分析では考えられない提案をする。筆者と同じくハーバード・ビジネス・スクールの教授であるディーパック・マルホトラは、同僚数人とともに、交渉やオークションの当事者が強い感情を抱いた時に起こる「競争心の覚醒」という心理現象の危険性について書いている。  競争心が覚醒した交渉の当事者は、強気な要求や極端な提案をしたり、過度に防御的になったり理屈っぽくなったりする傾向がある。その結果、対立が激化し、双方に利益のある合意に達することが難しくなる。また、ロイ兄妹のように、合理的でない提案をしてしまうこともある。勝ちたいという欲求のほうが、健全な意思決定よりも重要になってしまうのである。そのため、M&A(企業の合併・買収)の競争入札に関しては、よく知られる知見がある。つまり、「買い手はえてして高すぎる価格を提示し、多く払いすぎる」のである。  さらに広い意味でも、感情はさまざまな形で交渉を狂わせる。怒り、いら立ち、失望などのネガティブな感情は、合理的でない意思決定や敵対的な行動につながりやすい。一方、高揚や熱意といったポジティブな感情も、潜在的なリスクを見過ごしたり、楽観的すぎるオファーを出したりする原因になる。ネガティブな感情もポジティブな感情も、状況を正確に把握し、合理的に判断する能力を低下させ、交渉の成功を困難にするのである。

■実質的な交渉だけでなく、プロセスの交渉も行う

ロイ家の兄妹と父親が行ったような入札合戦は、過当競争につながりかねない危険な領域である。この罠を避けるために、兄妹は価格提示の前に、プロセスについて交渉することができたはずである。たとえば、おかしな入札(他の入札者の提示額に1ドル上乗せした入札など)ができない1ラウンド制の入札に同意するよう、ナンに求めることもできたはずだ。  交渉プロセスの交渉には、基本的なルールの設定、タイムラインの合意、各当事者の役割・責任分担の明確化などが含まれる。ビジネス交渉では、各人の発言時間や休憩時間など、商談の形式について取り決めることもある。このようなルールによって、交渉の構造が明確になり、両当事者とも主張の場を得て、安心できるのである。  プロセスが誠実に交渉され、双方の合意が形成されると、公正さや透明性が生まれる。これによって、交渉はより協力的なものとなり、相互に有益な合意に達する可能性が高くなる。  このドラマの登場人物がしているような10億ドル単位の入札合戦など、現実離れしていると思うかもしれないが、交渉の基本は同じである。今度、あなたのビジネスが危機に陥った時には、ぜひこれらの教訓に照らして我が身を振り返ってみてほしい。

(情報元:人気ドラマ『メディア王』が教えてくれる交渉の落とし穴(DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー) – Yahoo!ニュース

この記事は、人気ドラマ『メディア王』のエピソードを通じて、交渉における落とし穴と効果的なアドバイスについて説明しています。

まず、交渉において自信過剰になることは危険とのこと。

自信過剰になると、相手を過小評価し、非現実的な要求や低い金額を提示する傾向があります。また、自信過剰な人は準備不足であり相手に対する懸念を軽視したり逆に攻撃的になったりすることがあります。

そのため、準備をしっかりと行い、相手との関係を悪化させずに合意に至ることが重要です。

また、提案をフレーミングすることも重要とのこと。自分の提案の利点を強調し、欠点を最小化する方法で提案を行うと、相手が受け入れやすくなります。

このドラマの兄妹たちも、自分たちの提案をプラス面重視でフレーミングすることで、交渉に有利な状況を作り出しました。

さらに、アンカリングという手法も有効とのことです。アンカリングは交渉の最初のオファーで相手の認識に影響を与えることです。

適切なアンカーを設定することで、交渉の結果に大きな影響を与えることができます。このドラマでは、兄妹が80億ドルや90億ドルというアンカーを落とし、最終的に100億ドルで勝負に出ることを決めました。

何事も準備が大切・・・というのは絶対ですね。このドラマでは億円単位のお金が飛び交いますが、ここまでの金額でなくても一般的な個人や家計において上手に資金をやりくりすることは重要です。

資産形成を考えると、特に2023年の物価高・エネルギー高もあり、家計や個人も皆苦しんでる印象です。

個人としてはやはり、急な出費など対応できる現金化の方法をあらかじめ理解しておくというのも重要と言えます。

急な出費に対応する現金化の手段としてクレジットカードのショッピング枠を利用する方法があります。

クレカの現金化自体は当然違法ではありませんし、現金を得るにおいて有用な手段として根強い支持があるのも事実です。

クレカ現金化においては信頼のできる金券ショップなど、実績があるお店をきちんと選ぶことが大きなポイントと言えるでしょう。

特に大阪など関西は電子ギフト等の取扱において法律に反しない範疇で営業している金券ショップも多く存在します。

クレジットカード現金化について詳しくは当方サイトでもまとめてますのでよければご覧ください。

クレカ現金化は合法か|クレジットカード現金化口コミ案内所

その他大阪で土日も営業しているクレカ現金化店や、来店不要での現金化ができるショップをまとめてますのでよろしければご覧ください。

土日も営業しているクレカ現金化店|大阪のクレカ現金化店案内所(公式版) (anshinmarufuku.com)

※女性も安心!大阪で来店不要でもクレジットカード現金化ができるお店