実業家として大成功した祖父を持つ61歳のAさん
61歳のAさんは、昨年定年退職して以降、のんびりとした生活を送っていました。
Aさんの祖父は実業家で、一代で財を成し、都心の高級住宅街に住まいを構えるなど、かなりのやり手の人でした。
Aさんの父親はいわゆる「普通の会社員」の道を進み、長男ということで、Aさんの祖父が高齢で引退したあとも、同居して亡くなるまで面倒を見ていました。
事業のほうはAさんの叔父が継いでおり、Aさん自身も父親同様に会社員となりましたから、事業とは無縁の状態です。
さて、Aさんも長男のため、祖父の代からの高級住宅街の住まいに父親と同居していましたが(母親はすでに他界)、数年前に父親が介護状態になったあとは老人ホームに移っていました。
その後もこの住まいに、Aさんと妻(57歳)と会社員の2人の息子(独身:30歳・28歳)と4人で暮らしています。
贅沢していないAさん夫婦の出費が多いワケ
定年退職したときのAさんの金融資産は退職金も含めて5,000万円ほどでした。
Aさんの家族は高級住宅街に住んではいますが、普通の会社員らしく、4人ともそれほど派手な暮らしはしていません。
Aさんも定年退職後は近所の公園を散歩したり、趣味の読書やたまに演劇鑑賞に興じたりと、それほどお金がかかるものでもありません。
そんなAさんの家計で普通の会社員の家庭と違うところは、固定資産税の大きさです。
土地・建物合わせて、年税額は約72万円(住宅用地の軽減特例適用、都市計画税含む)にもなります。
普通の会社員には高すぎると感じつつも、祖父が血のにじむような苦労をして手に入れた家ですから、父親からも「この家は守っていこう」と言われていましたし、Aさん自身も長男としての務めと、子どものころから住み続けたという思いから同じ気持ちを持っています。
ほかに資産家の悩みというとやはり「相続税」です。
母親はすでに他界しておりますので、Aさんには長く関西に住んでいる仲のよい弟(58歳)がおり、この兄弟2人が相続人となります。ですが、Aさんの父親は自身の相続のときにかなり苦労したらしく、Aさんのために7,000万円の保険に加入してくれています。
Aさんはほかにも数千万円は金融資産もあるだろうから、相続税の納税にも困ることはないだろう、と考えていました。
このため、退職時の金融資産5,000万円と足し合わせて1億2,000万円老後資金があったAさんは、定年後も再就職もせずに妻とのんびりとした時間を楽しんでいた、というわけです。
父親が急逝、予想外の事態に…
そんななか、施設に入居していたAさんの父親が突然亡くなってしまい、Aさんに「相続」の問題が襲い掛かってきます。
葬儀後に調査したAさんの父親の資産状況は次のとおりでした。
1.自宅の土地 約1億9,000万円
2.自宅の建物 約3,000万円
3.預貯金等金融資産 約3,000万円
4.生命保険 遺産分割対象外
合計 約2億5,000万円
Aさんが驚いたのは土地の価格です。
10年ほど前に調べたときに比べると予想以上に高くなっていました。
そして、老人ホームの入居費用にかかったのか、金融資産が思ったほどなかったことです。
この約2億5,000万円を弟とわけますので、約1億2,500万円ずつになります。
そして、相続税額は次のようになります。
■財産評価額(相続税)
1.自宅の土地(小規模宅地等の評価減適用後の額) 約3,000万円
2.自宅の建物(固定資産税評価額) 約2,000万円
3.預貯金等金融資産(葬儀費用控除後) 約3,000万円
4.生命保険(課税金額) 約6,000万円
合計 約1億4,000万円
■相続税額 1,560万円(相続人2人での納税額)
老後資金が一気になくなってしまうAさん
Aさんが困ったのは、相続税の金額ではなく、弟さんとの資産分割です。
資産家の場合、財産の多くは一般的に不動産です。
不動産は簡単に現金化することができず、分割するのが難しくなっています。
Aさんの父親はこの分割のために7,000万円の生命保険に加入したのでした。
関西で長いあいだ生活しているAさんの弟さんは東京の不動産に興味はなく、やはり金銭で要求してくるでしょう。
生命保険の7,000万円と金融資産の3,000万円で合計は1億円です。
残りの2,500万円と相続税の約800万円の合計3,300万円をAさんは用意しなければなりません。
悠悠自適と思われたAさんの生活設計は大きく崩れ、このままでは老後破産に陥ります。
Aさんは退職から2年近くが経過しており、すでに500万円以上の資産が減っていました。
3,300万円の支払いはかなりのダメージで、残りの金融資産は約1,200万円程度になってしまいます。
祖父の代から守ってきた家を手放す可能性も…
固定資産税等だけでも30年先までは合計で2,000万円超を払っていかなくてはいけません。
65歳から受け取れるAさんの年金予定額の月額は約20万円ですが、とても家を持ち続ける余裕など完全になくなってしまいました。
「私は父親のように息子達のために多額の保険に加入できるほどの余裕などはありません。自分の老後の生活と将来の相続のことを考えると、自宅は手放さないといけないのかな、と思います。いまはなにも考えられない状況ですが、妻とは、数年後には夫婦で入居できる老人ホームにでも入ろうか、と話し合っています」
Aさんのように特定の相続人が土地などの現物の財産を相続する代わりに、ほかの相続人に対し現金などを支払う方法を「代償分割」といいます。
相続税では、宅地には「小規模宅地等の特例」の適用を受けることができ、自宅敷地の評価が80%減額されることで相続税額が軽減されます。
ですから、代償分割では、この小規模宅地等の特例の適用を受けることができますので、相続税の軽減に非常に有効です。
しかしながら代償分割は、Aさんのように不動産を受け継いだ相続人は、他の相続人に対して支払うべき現金(代償金)を用意しなければならない、という負担があります。 困ったAさんは、筆者にアドバイスを求めてきました。
Aさんの老後資金を残すには?FPからの助言
Aさんは不動産の評価を時価評価で算出しましたが、相続の分割は必ず時価で行わなければいけない、というものでもありません。
ほかに相続税評価額等で算出する方法もあります。
相続人のあいだでは、この評価額をいくらにするかで意見がわかれ、代償金の金額がなかなか決まらずに分割協議がまとまらないこともあります。
Aさんの場合、不動産の評価方法を下記のように変えることで、遺産分割の財産評価額を2億円まで下げることが可能です。
1.自宅の土地 約1億5,000万円
2.自宅の建物 約2,000万円
3.預貯金等金融資産 約3,000万円
4.生命保険 遺産分割対象外
合計 約2億円
Aさんが弟さんに渡す金銭は1億円となり、保険金と父親が残した金融資産でちょうど賄うことができ、Aさんは相続税分の現金のみを用意すればいいことになります。
Aさんは弟さんと仲もよいため、Aさん側の下記の事情を伝え、話し合うことを勧めました。
1)亡くなった父親の強い希望もあり、自分の代では家を手放したくない、ということ
2)老後のための資金がなくなり、このままでは息子達に迷惑をかけてしまうこと
3)父母の面倒は最後まで同居してきたAさん自身が看てきたこと なお、
3)については弟さん自身も自覚しているでしょうし、口に出すとかえって揉めてしまうことになるため、伝え方はなかなか難しいでしょう。
遺産分割をめぐるトラブルは増加傾向にあり、遺産の額に関係なくどの家庭にも起こりうるものとなっています。
老後資金設計に併せて相続についても関心を持っていただくとともに、早めの対策を講じるようにしましょう。
<注釈> ・税金等については、現在の税制で計算し直しています。
・相談者のプライバシーを考慮し、一部脚色しています。
川淵 ゆかり 川淵ゆかり事務所
資産家の父親が亡くなり、相続による資産分割の問題が生じたことで、息子のAさんの老後資金が不足し、自宅を手放さなければならなくなったというものです。
Aさんは父親が7,000万円の生命保険に加入し、金融資産が3,000万円あったため、相続税と残りの分割金を合わせて3,300万円必要でした。しかし、Aさんは退職後に資産が減っており、支払いにより老後資金はさらに減少。
さらに、Aさんは固定資産税などで将来的にも負担がかかることから、自宅を手放す可能性も検討しています。
記事では、代償分割という方法が紹介されており、不動産を相続する相続人が他の相続人に現金などを支払うことで相続を分割する方法です。
ただし、代償分割には相続人が現金を用意しなければならない負担があるため、Aさんはアドバイスを求めています。
FPからの助言としては、不動産の評価方法を変えることで遺産分割の財産評価額を下げ、代償金を1億円に抑える方法が紹介されています。
この方法を利用すれば、Aさんは保険金と金融資産で分割金を賄い、相続税分の現金のみを用意すればよくなるとされています。
遺産分割をめぐるトラブルは増えており、老後資金の設計と相続について早めの対策が必要であると述べられています。
また、Aさんは弟との話し合いを勧められており、自分の希望や老後の資金不足、父親の面倒を看てきた経緯などを伝えることが重要であるとされています。
この3年間はコロナ騒動もあり最近は物価高・エネルギー高もあり家計や個人も皆苦しんでる印象です。
不動産投資や運用の知識とスキルは必須な時代と言えるでしょう。
その他急な出費に対応する現金化の手段としてクレジットカードのショッピング枠を利用する方法があります。
クレカの現金化自体は当然違法ではありませんし、現金を得るにおいて有用な手段として根強い支持があるのも事実です。
クレカ現金化においては信頼のできる金券ショップなど、実績があるお店をきちんと選ぶことが大きなポイントと言えるでしょう。
特に大阪など関西は電子ギフト等の取扱において法律に反しない範疇で営業している金券ショップも多く存在します。
クレジットカードの現金化について詳しくは当方サイトでもまとめてますのでよければご覧ください。
その他大阪で土日も営業しているクレカ現金化店や、来店不要での現金化ができるショップをまとめてますのでよろしければご覧ください。