ペアローンは共稼ぎの夫婦にとって融資枠が広がり、より高額な物件購入も可能になる便利な借入方法です。
ただし夫婦間に亀裂が入り、離婚が現実になってくれば、一気に不都合が噴出します。
そもそも互いの意向が噛み合わない状態が離婚の根っこにあるとすれば、全てがギクシャクしてしまうものです。
本稿では実際にココナラ法律相談のオンライン無料法律相談サービス「法律Q&A」によせられた質問をもとに、ペアローンを組んだ夫婦が離婚する際の注意点について、岡部将吾弁護士に解説していただきました。 【早見表】3,000万円30年返済の住宅ローン…金利差による利息分 2023.01.06
ペアローンで購入した住居を売却したいが、一方が「拒絶」
相談者のナカサンさん(男性56歳・仮名)は、同じく50代の妻との別居を検討しています。
別居にあたり、ナカサンは住居を売却したい意向です。
一方、妻は売ることに反対しています。 相談者が懸念しているのは、住居をペアローンで購入していることです。
さすがに自分だけの意向で、売却で押し切るのは困難と認識しています。
相談者としては、 ・住居をなんとか現金化する ・相談者の住宅ローンを妻に引き継いでもらう のどちらかで話を進めたいと考えています。
相談者が心配しているのは、妻が売却および住宅ローン引き継ぎも拒否し、住宅ローン完済後に相談者が居住していないにもかかわらず実質、妻の財産となることです。
もしも売却せずに財産分与とする場合、 住居時価:5,000万円 妻の住宅ローン:2,500万円 と、上記の分け方になるので、住居時価と妻の住宅ローンの差額2,500万円の半分となる1,250万円を相談者がもらえると認識しています。
離婚および財産分与について、万一、妻から同意が得られない場合、もしくは相談者の提案に不服を示した場合は、最終的に裁判所に提訴して判決をもらう形になるかもしれないと覚悟はしています。 そのうえで、ココナラ法律相談「法律Q&A」に次の2点について相談しました。
(1)ペアローンで購入した物件で一方の同意が得られない場合、法的にどのような形で話を進めるのが望ましいのか。 (2)妻が売却も住宅ローン引き継ぎも拒否した場合、住宅ローン完済後の所有権はどうなるのか。
離婚時の財産分与はどうなるのか…
1.ペアローンとは
ペアローンとは、一般的に、同一物件に対して複数の債務者がそれぞれ個別に住宅ローン契約を行い、互いに担保提供者兼連帯保証人になる借り入れ方法です。 本件では、ご相談者様は、夫婦共有名義の自宅不動産について、夫婦それぞれが個別に住宅ローンを借り入れ、それぞれ共有持分に抵当権を設定し、さらに互いに連帯保証人にもなっている状態だと思われます。
現在別居検討中とのことですが、別居して自宅を離れたとしても自身の住宅ローンや連帯保証債務がなくなるわけではありません。
そこで、ご相談者様としては、自身の住宅ローンや連帯保証債務の負担を免れるため、自宅の任意売却を希望されているのでしょう。
2.配偶者の同意が得られない場合は
しかしながら、ペアローン付き自宅の任意売却には、配偶者の同意が不可欠となります(なお、抵当権設定者である金融機関の同意も必要です)。
配偶者の同意が得られない場合には、離婚時の財産分与によるしかありません。
3.住宅ローン付き不動産の財産分与
(1)離婚時の財産分与とは
財産分与は、婚姻中に夫婦で協力して形成した財産(夫婦共有財産)を、離婚時に原則として2分の1の割合で分け合う制度です。
住宅ローン付き不動産の場合には、時価額から住宅ローンの残額を控除した残余額を財産分与対象と考え、当該残余額を2分の1の割合で分け合うことになります。
(2)本件では不動産は財産分与の対象外
本件では財産分与をしても売却や住宅ローンの引継ぎは難しいです。
本件では、不動産の時価が5,000万円、配偶者の住宅ローン残高が2,500万円とのことですので、おそらくご相談者様の住宅ローン残高も2,500万円程あるものと思われます。
そうすると、時価5,000万円-住宅ローン残高の合計5,000万円=0円であり、当該自宅不動産は、財産分与の対象となる残余額が全く無いか、仮にあったとしても僅かということになってしまいます。
したがって、仮に離婚時の財産分与を行うとしても、当該不動産については、財産分与の対象外となる可能性があります。
仮に財産分与の対象になるとしても、配偶者が自宅に住み続けることを希望した場合には、配偶者から僅かな代償金の支払いが得られるだけで、売却や住宅ローンの引継ぎまでは難しいでしょう。
なお、住宅ローンの引継ぎには、抵当権設定者(金融機関)の同意が必要であり、金融機関がそもそも住宅ローンの引継ぎに同意することはほとんどありません。
以上の通り、本件では、仮に離婚して財産分与の手続きをしても、不動産の任意売却や住宅ローン債務の引継ぎは難しいと考えられます。
4.ローンを完済した後の所有権について
(1)売却をしないままローンを完済した場合 売却をしないまま住宅ローンを完済すると、自宅不動産の抵当権は抹消されますが、所有権はご相談者様と配偶者の共有のままで変化はありません。
夫婦共有名義の自宅不動産に、配偶者が単独で居住しているという状態になります。
(2)共有物分割請求について 住宅ローン完済後の共有状態を解消するためには、財産分与とは別に、配偶者に対して共有物分割請求を行うことが考えられます。
共有物分割請求は、共有状態の解消のため、共有者に対して、共有持分の買い取りや共有物全体の売却を求めることができます。
本件では、ご相談者様の共有持分の買い取りや、自宅不動産の売却を求めていくことが考えられます。 なお、住宅ローンの抵当権が抹消されているので、共有持分の売却や名義変更に抵当権設定者の同意得る必要はありません。
そのため、完済前の財産分与よりも、完済後の共有物分割請求の方が円滑に進む可能性があります。 本件では、財産分与の中での不動産売却やローンの引継ぎは難しいと思われますが、住宅ローン完済後に共有物分割請求をして共有持分の買い取りや不動産の売却をすることはできると考えられます。
5.ローンの返済ができなくなった場合
他方で、仮に途中でローンの返済が難しくなった場合には、不動産は抵当権実行により強制競売にかけられることになります。
強制競売の結果、ローンの全額返済ができれば良いですが、ローンが残ってしまった場合にはご相談者様と配偶者が残額の一括返済を求められることになります。
ペアローンは離婚時のお荷物になります
1.ペアローンのリスク
夫婦ペアローンは、夫婦がそれぞれ個別に住宅ローン契約をし、互いに連帯保証人になっているものです。
別居や離婚をしても、当然、自身の住宅ローンの残債がなくなるわけではなく、また、配偶者の住宅ローンの保証債務も継続します。
加えて、住宅ローンを一方の配偶者に引き継がせることも、実務上、抵当権設定者である金融機関が同意をしないため、かなり難しいです。
離婚時の財産分与の中で売却をすることも考えられますが、そもそもオーバーローンの場合には財産分与の対象外となります。
また、財産分与の対象になったとしても、配偶者が不動産への居住継続を希望する場合には、売却ではなく、配偶者から単独取得の対価として代償金が支払われるにとどまり、住宅ローンの引継ぎまでは期待できません。
したがって、ペアローンは、別居や離婚をした後、当該不動産に居住しない場合であっても、自身の住宅ローンの残債及び配偶者の住宅ローンの保証債務が残る可能性があり、離婚時には「お荷物」になることが多いです。
2.夫婦ペアローンを組む際には慎重に
夫婦ペアローンで自宅を購入する際には、新居での夫婦生活に夢を膨らませ、将来別居や離婚をすることなど想像もしていないことが多いと思います。
しかし、婚姻した夫婦の3分の1が離婚をする時代です。 そのため、夫婦ペアローンを組むかどうかの判断をするにあたっては、将来の別居や離婚をした場合のリスクも念頭において、慎重に検討をすることが望ましいといえます。
50代夫婦「5,000万円」の住宅購入も…別居で気づいた「ペアローンでマイホーム」の“驚愕の落とし穴”【弁護士が解説】/記事考察
ペアローンは共稼ぎの夫婦にとっては便利な借入方法であり、高額な物件の購入も可能になる一方で、離婚時には大きなリスクを伴うことがわかる記事です。
特に、配偶者との意向が食い違った場合、不動産の売却や住宅ローンの引継ぎに関して問題が生じることが考えられます。
ペアローンを組んだ夫婦が離婚する際には、財産分与により不動産の所有権を分け合う必要がありますが、ペアローンの場合は売却や住宅ローンの引継ぎが難しくなることが指摘されています。
時価と住宅ローンの差額を分け合うことになるため、特にオーバーローンの場合は財産分与の対象外となる可能性が高いとされています。
また、配偶者が自宅に住み続ける希望がある場合には、代償金の支払いが得られるだけで、住宅ローンの引継ぎまでは難しいとのことです。
このようなリスクを考慮すると、夫婦がペアローンを組む際には将来的な別居や離婚に対しても、一つの可能性として考慮したうえで慎重に検討する必要があります。
信頼できるショップとのクレカ現金化も有用
急な出費に対応する現金化の手段としてクレジットカードのショッピング枠を利用する方法があります。
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