「お賽銭の脱現金化」が一筋縄ではいかない事情 各国で普及する「献金」キャッシュレス化の是非
見事なゴシック建築で建てられた内部では、ステンドグラスを通して堂内に広がる光が、礼拝者を500年前にタイムスリップさせる。そこでふと、堂内各所に見慣れない電子機器が置かれているのに気づいた。

 教会へ献金するためのクレジットカード決済の端末である。触ってみると手順は簡単だった。寄付したい金額をユーロで入力したら、クレジットカード(またはデビットカード)をかざす(または差し込んで暗証番号を入れる)。お店で支払いをするように、非接触決済で寄付できた。カードの利用控はメールで送られた。

■アプリ導入で献金額が増加

 このサン・トゥスタッシュ教会を筆者が訪れたのが2020年10月。コロナ禍真っただ中のフランスにおいて、半年ほど外出や飲食店などの制限が緩んだ時期である。献金のカード決済は、新型コロナウイルス対策なのかと思うかもしれないが、じつはコロナ禍以前の2018年1月から始まっている。

 この現金に代わる決済方法は、フランスではパリ市内16区にあるサン・フランソワ・ド・モリトール教会で初めて導入された。その後、フランス各所に広がっている。仏メディアのフランス・アンフォによると、カトリックのパリ教区における信者1人あたりの年間献金額は、98ユーロ(約1万2000円)。パリ教区において、信者からの献金は財源の14%にあたるという。

 スマホのアプリを用いた献金方法も拡大中だ。フランスのスタートアップ、オボール・デジタルが開発した「ラ・ケート(La quête)」というアプリには、現時点で65の教区および1万2000カ所の教会が参加する。仏AFPによると、同アプリを導入した教区では、献金額が2~5倍に増えたそうだ。

 宗教活動にまつわる決済電子化の流れは、日本でも起きている。今年10月、真宗大谷派はお賽銭や読経、納骨の際のお布施に、クレジットカード決済を導入した。

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https://news.yahoo.co.jp/articles/5793db60867d3de88903902eb95afa03b301ef34