令和5年4月より、さまざまな制度が変更になりました。本記事では、医療、年金、労災、子育てなどの社会保障のうち、国民生活に影響がある制度変更のポイントを5回にわけて解説します。 第2回目は、「雇用保険料率の変更」と、「賃金のデジタル払い制度の開始」について取り上げます。
雇用保険料率の変更
(1) 1週間の所定労働時間が20時間以上であること、(2) 31日以上の雇用見込みがあること、を満たす労働者は自動的に雇用保険に加入します。 ただし、自営業者、フリーランス、公務員は雇用保険には加入できません。雇用保険加入者は、失業したときの生活費の保障や職業能力を向上させる職業訓練などを受けることができます。 雇用保険の保険料は、雇用保険料の対象となる毎月の賃金総額(給与額)に、業種ごとに設定された雇用保険料を掛けて算出します。そのため、毎月の賃金総額(給与額)に応じて、雇用保険料も変動します。 令和5年度(令和5年4月1日から令和6年3月31日まで)の一般事業の失業等給付等の保険料率は、労働者負担・事業主負担ともに6/1000に変更になりました。農林水産・清酒製造の事業および建設の事業は7/1000に変更になりました。 なお、雇用保険二事業の保険料率(事業主のみ負担)は、引き続き3.5/1000です(建設の事業は4.5/1000です)。
ちなみに、雇用保険二事業とは、被保険者ではなく事業主に対する支援で、「雇用安定事業」と「能力開発事業」の2つがあります。
賃金のデジタル払い制度の開始
賃金の支払方法については、従来の通貨以外にも、銀行やその他の金融機関の預金、または貯金の口座への振込等によることができることとされています(労働者の同意を得た場合のみ)。
つまり、給与はこれまで、手渡しや銀行振込で支払う必要がありました。 しかし、令和5年4月から、従来から認められていた銀行口座等に加え、厚生労働大臣が指定する資金移動業者(○○ペイなど)の口座への賃金支払が認められるようになりました。
ただし、現金化できないポイントや仮想通貨での賃金支払は認められていません。労働者が希望しない場合は、必ずしもデジタル払いを選ぶ必要はありません。 使用者は、労働者のうちデジタル払いを希望しない人に対し、これを強制してはいけません。
また、賃金の一部を資金移動業者口座で受け取ることとし、残金は従来の銀行口座等で受け取るといった方法も可能です。 なお、指定資金移動業者口座の上限額は100万円です。口座残高の払戻期限は最後の入出金日から10年間です。指定資金移動業者口座から不正に出金などされた場合、口座所有者に過失がなければ、損失額全額が補償されます。 万一、厚生労働大臣の指定する資金移動業者が破綻した場合には、保証機関が賃金を受け取るために使用している口座の残高を弁済してくれます。 デジタル払いの労働者側のメリットとして、指定する資金移動業者(○○ペイなど)の口座へ直接、給与が入ってくるので、銀行からのチャージが不要になる点があります。また、給与を複数に分けて受けとることも可能です。何にいくら使ったかも分かりやすくなるでしょう。 出典 厚生労働省 令和5年度雇用保険料率のご案内 厚生労働省 厚生労働省関係の主な制度変更(令和5年4月)について 厚生労働省 雇用保険制度/雇用保険料率について 厚生労働省 資金移動業者の口座への賃金支払(賃金のデジタル払い)について
本記事では、雇用保険料率の変更と賃金のデジタル払い制度の開始について解説されています。これらの変更は、社会保障制度における重要なポイントですね。
まず、雇用保険料率の変更についてです。雇用保険は、労働者の失業時の生活費の保障や職業訓練などの支援を提供する制度です。新たな変更により、労働者の雇用保険への加入要件が厳格化されました。この変更により、雇用保険料率は毎月の賃金総額に応じて変動し、一般事業の失業等給付等の保険料率は労働者負担・事業主負担ともに6/1000に変更されました。
次に、賃金のデジタル払い制度の開始についてで、従来は給与の支払いは通貨や銀行振込に限られていましたが、令和5年4月からは銀行口座に加え、厚生労働大臣が指定する資金移動業者の口座への賃金支払いが認められるようになりました。これにより、労働者は銀行からのチャージが不要になり、給与を複数の口座に分けて受け取ることも可能になりました。
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